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NCバイスリーダー:長澤圭悟

機械を操ることで、アクリルをいっそう自由にする。

 エトワールのアクリル製品はハンドメイドが基本。熟練の職人が一つひとつの作品を丁寧に仕上げていく。しかし、正確な球体や、繊細な幾何学模様を削り出すような加工は、人の手のみでは難しい。そのような場合に活躍するのがNCマシンを扱う長澤だ。

 「NCとはNumerically Controlled、つまり数値制御という意味です。Gコードと呼ばれる数字やアルファベットを組み合わせたプログラム言語を入力することで、マシンの工具を自在に動かせるんです」

 長澤の前職はシステムエンジニア。プロユースの機器を動作させるためのソフトウェアを開発していたが、10年後まで同じ仕事を続けている自分の姿がどうしても想像できなかったという。

 「プログラムは電子的なデータに過ぎず、形のあるモノではありません。対象が特殊な機器だったため、自分の作成したプログラムが実際に使われている場面を見る機会もありません。それで転職を決めたんです」

 エトワールへ入社した当初は工房へ配属されたが、すぐレーザー加工担当へ異動となった。レーザーはコンピュータ操作の工作機械。システムエンジニアの経験が見込まれたのだろう。そして2年前にNCマシンが導入されるとともに、長澤もその責任者となった。

 NCマシンを操るポイントは、完成に至るまでのプロセスを詳細にイメージしておくことだという。

 「削るにしても、手順がありますから。行き当たりばったりだと、途中で修正の必要性が生じても対応できなくなるんです。だから最初に工程の全体像を把握します。機械を動かすのはそのあとです」

 機能性の高いNCマシンではあるが、万能ではない。アクリル素材が相手であるため、苦手な動作もある。素材が破損したり、工具が届かない部分は加工ができない。何より、使い手が動き方を考えてやらなければ始まらない。芝居と役者の関係に似て、どう動かすかを決めるシナリオのようなものが必要な機械なのだ。 「たとえば板の両面を加工する場合、最初の面を削るときはフラットな状態ですから精度を出せます。が、加工した部分の高さによって、裏返したとき微妙に面が傾くことがあります。その傾きをあらかじめ想定しておかないと、工具の入り方がずれてしまうんです」 mm単位でサイズを求められる当社のアクリル加工にとっては致命的な問題となる。

 現在は、このNCマシンの性能を20%程度しか生かせていないと思う。まだまだ新しい加工ができる可能性を持っているはずだ。デザイナーの意図を形にするだけでなく、『こんなこともできるから、それを活かしたデザインは考えられないかな』などと、私の方からも積極的に提案できればいいのかもしれません。それが新しい発見にもつながると思っています。

 ある時計メーカーのディスプレイを製作したときの経験は一つのヒントになるかもしれないと長澤は考えている。 「それは有名な建築家がデザインしたものでした。ふだん私たちが扱っている製品のデザインとは発想がまったく異なり、意外性が満載。それだけに加工プロセスを考えてプログラムするのにたいへん時間がかかり、苦労した仕事でした。ただ、スケールの大きさ、加工の斬新さと、思い切ったアプローチをすることで、見えてくる新しい領域があるんだなと感じました」

 街で目を引くディスプレイを見かけると、つい構造や設計を考えてしまうという長澤。 異素材のディスプレイも「アクリル素材×NCマシン」で同じようなことができないかと、研究心が尽きることはない。 「今までの加工に加え、出来なかった壁を乗り越え、アクリルはもっと自由になるかもしれないと思っています」

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エトワールのクリエイティビティ
制作事例紹介
技術と感性のコラボレーション
提案力・デザイン力・技術力
40年のモノつくりで培ってきたもの
匠の肖像
工房リーダー:石田忠雄
制作部NC担当:長澤圭悟
デザイン室 チーフ:佐藤英男
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